この記事で扱うこと
資金繰りに不安が出てきた段階で弁護士に相談する場合、何を持って行けばよいのか分からない、というご質問をよくいただきます。
ここでは、初回の面談で確認する内容を5つの数字に絞って挙げます。すべてそろっている必要はありません。どこまで分かっていて、どこが不明かを把握することが目的です。
1. 手元資金の残高
まず確認するのは、今日時点で自由に使える現金と預金の合計です。
定期預金や担保に入っている預金は分けて考える
定期預金や、借入の担保として拘束されている預金は、すぐに使えるとは限りません。「口座の残高合計」ではなく「実際に支払いに充てられる額」を把握しておくと、以降の検討が正確になります。
2. 今後3か月の入出金の予定
次に、これから3か月の入金予定と支払予定を並べます。日次または週次の資金繰り表があれば理想ですが、なければ主要な項目だけでも構いません。
- 売掛金の入金予定(金額と時期)
- 買掛金・外注費の支払予定
- 給与、社会保険料、家賃
- 借入の約定返済
- 税金の納付予定
この表を作ると、「いつ資金が足りなくなるか」がはっきりします。この日付が、検討に使える時間の長さを決めます。
3. 借入の残高と条件
金融機関ごとに、次の項目を一覧にします。
| 項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 借入先 | 金融機関名、保証協会の保証の有無 |
| 残高 | 現在の元本残高 |
| 返済条件 | 毎月の返済額、最終返済期日 |
| 担保 | 不動産、預金、売掛債権など |
| 保証 | 経営者個人の保証の有無 |
このうち、経営者個人の保証の有無は特に重要です。法人の処理と個人の処理は別の手続になるため、保証債務の有無によって検討の順序が変わります。
4. 滞納の有無と金額
税金、社会保険料、家賃、給与に滞納がある場合は、その金額と発生時期を確認します。
滞納の種類によって、その後の進め方が変わります。たとえば社会保険料の滞納は、差押えに至る時期が比較的読みやすい一方、放置すると事業の継続に直接影響します。滞納があること自体は珍しくありませんので、正確に伝えていただくことが大切です。
5. 固定費の内訳
毎月必ず出ていく費用を、金額の大きい順に並べます。人件費、家賃、リース料、保険料などです。
事業を続ける方向で検討する場合、どの費用を見直せるかが判断材料になります。事業をたたむ方向で検討する場合も、いつまでに何が発生するかを把握しておく必要があります。
そろっていない場合はどうするか
ここまで5つ挙げましたが、すべてそろえてから相談する必要はありません。
資金繰りが厳しくなっている局面では、経理の体制自体が追いついていないことも珍しくありません。「通帳と、借入の返済予定表だけ持ってきた」という状態からでも、確認すべき順序をご案内できます。
資料をそろえることを優先して相談が遅れると、その間に選べる手段が減っていくことがあります。準備の完成度よりも、相談の時期のほうが結果に影響しやすい、というのが実感です。
まとめ
- 相談前に整理しておくと有効なのは、手元資金、今後3か月の入出金、借入の残高と条件、滞納の有無、固定費の内訳の5点です。
- なかでも、資金が不足する時期と、経営者個人の保証の有無は、検討の方向を左右します。
- ただし、資料が整うのを待つ必要はありません。分かっている範囲でご相談ください。
ご相談の流れと費用については、ご相談の流れと費用のページにまとめています。